2018.04.27

話題の体験型コンテンツを生む、仕掛け人の思考とは?

アフロマンスが語る「ソーシャル時代に重視すべきこと」

2012年にスタートし、一大ムーブメントを巻き起こした音楽イベント「泡パ®」。その仕掛け人であるアフロマンスさんは、アクティベーションクリエーターとして、話題の体験型コンテンツを数多く生み出しています。

なぜアフロマンスさんが手掛けるイベントは、話題になるのか。どんな視点で物事を捉えているのか、お話を聞きました。

目次

実はSNSよりリアルな口コミの方が重要

株式会社アフロ&コー CEO/アクティベーションクリエーター アフロマンスさん
株式会社アフロ&コー CEO/アクティベーションクリエーター アフロマンスさん

――アフロマンスさんは、もともとは広告代理店でプランナーとして働きながら、イベンターとしても活動していました。独立したきっかけは、やはり「泡パ®」の成功が関係しているのでしょうか?

はい。プランナーの仕事は楽しかったですし、充実もしていました。ただ、当時からこのヘアスタイルでしたから、堅い仕事とは縁遠かったですね(笑)。会社員時代から「面白いことがしたい」という思いが強く、当時は銭湯を舞台に踊るイベントを実施したり、都電荒川線の車両を貸し切って音楽イベントをしたりしていました。

そのなかで、泡にまみれながら音楽を楽しむ「泡パ®」がヒットし、気が付けば、さまざまなアーティストやブランド、コンテンツとコラボレーションするようになりました。徐々にオファーが増えると、二足のわらじも限界を超え、独立する決意をしました。

――現在アフロマンスさんは「アクティベーションクリエーター」として、人を動かす体験型コンテンツの企画を多く手掛けています。先日も桜の花びらに埋もれる「SAKURA CHILL BAR」が話題になりました。企画作りの際に、どんなことを意識していましたか?

「SAKURA CHILL BAR」は、佐賀の日本酒「佐賀ん酒」をPRするために、期間限定で東京・表参道にオープンしたバーです。掲げたコンセプトは、「桜の花びらが舞い散る中で、チルアウトする(くつろぐ)」。まず意識したのは、SNSよりもメディア取材です。約2週間という期間限定のバーを、どれだけ多く露出させることができるかを、PR視点で考えていた部分はあります。結果、見た目の華やかさとわかりやすさで、多くのメディアに取り上げてもらうことができました。

「SAKURA CHILL BAR」
今年3月に約2週間限定でオープンした「SAKURA CHILL BAR」

今回のイベントでアンケートを取っていたのですが、SNSで拡散される前のオープン時期に来たお客さんの来店理由でいちばん多かったのは、意外にも「友人・知人からの口コミ」でした。つまり、口コミの構成比というのは、SNSよりもリアルの方が圧倒的に多く、影響力も強いことを示しています。またSNSの情報よりも、対面で聞く情報の方が人は信頼するし、行動に移しやすいとも言えるでしょう。

ですから場合によっては、SNSで1万人のフォロワーにメッセージを発信するよりも、リアルな友人100人に直接伝えた方が人は動く、ということが普通にありえるんです。

“いい写真が撮れる”だけでは足りない

――ではプロモーションとしては、SNSよりも、リアルでの影響をもっと意識すべきなのでしょうか?

というよりも、「なぜユーザーは写真を撮るのか?」「なぜ友人や知人にすすめたくなるのか?」を深く考えるべきだと思います。

SNSの拡散を狙って、フォトスポットを設けるケースも増えていますが、「なぜ写真を撮るのか?」といえば、“感動”するような体験がそこにあったからですよね。気持ちが動いたから、それを写真とともにアップするのであって、「フォトスポットがあったから写真を撮っているわけではない」はずです。

その根幹にあるのは、良質な体験であり、コンテンツです。成果を生むためには、「いい写真が撮れるだけでは、駄目な時代」に突入したと個人的には感じています。

――「SAKURA CHILL BAR」はまさに、写真映えするスポットでありながら、同時に桜に埋もれるという新感覚の体験ができました。

はい。店内には本物の桜の木を用意することで、桜の香りも楽しめるようにし、「全身で桜を楽しめる空間」を意識しました。音楽も、バーの雰囲気に合うものを流すことで、“五感で桜を楽しめる”リッチな仕様にしました。

その非日常感に、訪れた人は満足し、思わず写真を撮ったのだと思います。

――五感で楽しめる体験型コンテンツは、体感したユーザーの記憶にも強く残るからこそ、思わず誰かに話したくなるのでしょうね。

そうだと思います。体験型コンテンツ(イベント)を、私は総合芸術だと捉えています。装飾や音楽など、どれが欠けても成功しません。しかもライブ(生)ですから、どんなお客さんが来るかもわからない。けれでも、そこまで見据えて設計をする必要があるんです。そこにやりがいと楽しさを感じています。

ライブの面白いところは、同じことをやってもお客さんが違えば、雰囲気も変わるところです。絶対にいつも同じはない。だからこそ面白いですね。

大型野外フェス「泡フェス」
大型野外フェス「泡フェス®」

ファン作りにおいて重要なのは、総合的な演出

――「泡パ®」もそうですが、アフロマンスさんが手掛ける体験型コンテンツはネーミングもキャッチーな印象です。その点は意識されていますか?

しています。そこで待っている体験がイメージしやすいネーミング、さらにイベントのイメージも事前告知の段階で発信します。やっぱり気になるイベントがあって、足を運ぶかどうかを決める際には「魅力的なコンテンツが待っている」と感じてもらう必要がありますから。

そのためにもイメージはしっかりと打ち出しています。ただ、実際に訪れてみたら告知と落差があっては、むしろ評価を落とすことになります。そうならないためにも、やはり良質な体験型コンテンツを作ることが絶対条件になります。

――最後に。アフロマンスさんが思う、これからのプロモーションにおいて重要なこととは何でしょうか?

最近は「ファン作り」に大きな注目が集まっていますが、そのために重要になってくるのがファンになってもらうための“施策”です。そこで問われるのは、量ではなく、“質”です。ユーザーの期待を一度でも裏切れば、ファンは離れてしまいます。期待に応え続け、より好きになってもらう。その積み重ねによって、ユーザーとの信頼関係が構築され、やがて「ファンになる」わけです。

ですから一過性のプロモーションではなく、継続性のあるもの。さらにクオリティの高いものがより求められる時代になっていくと考えています。そのなかでも体験型のコンテンツは、ユーザーのファン化にもつながりやすい施策だと思っています。そのためにも、これからも既成概念にとらわれない、面白いアイデアで多くの人をハッピーにしていきたいですね。

今回アフロマンスさんが何度も繰り返したのが「SNSは口コミの氷山の一角に過ぎない」という言葉です。SNSも一般に浸透し、真新しいものではなくなっています。だからこそ、SNS上のシェアよりも、リアルな口コミの方が信頼度も高くなっているのでしょう。

リアルはもちろん、SNS上でもユーザーが思わず口コミしたくなる。そんな体験を届けることが、今後のプロモーションには求められていきそうです

Written by:
BAE編集部