2017.01.25

電通テック×Chalk Digital(第2回)

これからの位置情報広告のカタチは、こう変わる!

皆様こんにちは、電通テックです。

本日、弊社のあたらしいコンテンツメディア「BAE」が公開されました! 記念すべき最初の記事は、位置情報を活用した「ジオマーケティング」を考察する特別対談の後編です。ぜひ、先行公開されている前編も合わせてお読みください。

前回、明らかになった国内での位置情報活用の抱える問題は、今後どのように解決していけばよいのでしょうか。今回は、こうした問題に対する解決策を、広告配信に関するトピックを中心に、引き続き弊社パフォーマンス・マーケティング部の榎本と、弊社の開発パートナーであるChalk Digital 雪江氏との対談形式でお届けします。

左より弊社マーケティングディレクター 榎本真、Chalk Digital Inc. 雪江悟氏。


榎本 真 Enomoto Makoto/中央大学卒、1993年電通テックに入社。外資化粧品、大手自動車メーカーなどの統合プランニングや自社のデジタルメディア事業の開発等を経て、現在ではマーケティングディレクターとして社のデジタル戦略策定を行う。デジタル・マーケティングセンター センター次長 兼 パフォーマンス・マーケティング部 部長。

雪江 悟 Yukie Satoru/上智大学卒、1992年米国でMBA取得。サンディエゴでワイヤレステクノロジーやモバイルアプリケーションの開発に携わったのち、2012年に共同設立者の一人としてChalk Digital社を設立。位置情報を活用した正確性・即時性の高いモバイル広告配信プラットフォームを提供している。Chalk Digital Inc. 共同創業者。

ジオマーケティングのあたらしい形

雪江

最近、アメリカでは、来店者のスマートフォンにそのお店の広告が出てくるようになってきていて、ユーザーにとってかなり明確な位置情報提供のメリットがあります。一方、日本ではまだ実際にそうしたメリットを享受する機会が少ないため、ユーザーにとって本当にメリットのあるプロモーションを我々がどんどん発信していく必要があります。

それを実現するために、今回、電通テックさんと開発したのが「chalk_spreAD(チョーク_スプレッド)」という広告配信プラットフォームです。

「chalk_spreAD(チョーク_スプレッド)」は、位置情報を利用し、指定の場所・時間に広告を配信することを可能にするプラットフォーム。
chalk_spreADについて詳しくはこちら
榎本

このプラットフォーム開発の背景として、最近広告主がMA(マーケティングオートメーション)ツールを自社導入することが増えてきたという潮流があります。自社の顧客を自らの手で管理して、どれだけそのLTV (顧客生涯価値)を上げられるのかということを、オンプレで行う社会になってきています。その中で私は、広告配信に関しても同様なことが起きていくだろう、もはや広告主が代理店に個々の配信を依頼するようなスタイルは減少していく可能性が高いと感じていました。特に、今起きている課題を今解決するようなリアルタイムの配信は現状のワークフローでは無理です。我々が広告主と顧客の間に入って時間をかけるようでは売りの現場のスピードにはついていけません。であるならば、広告主が直接顧客とのエンゲージメントを構築していくためのサポートツールを提供することが弊社のこれからのミッションであると思い至りました。

雪江

広告主自身が広告を配信して、その結果も含めてすべて自社内で管理してしまうということですね。

榎本

はい。広告配信は日々のオペレーション業務なので、本来我々のエフォートを要します。もしこれを広告主側がオンプレで行えれば作業効率もよく、さらに自社の顧客理解を深めることができるので、是非実現させたいと思いました。ただそこで一番肝心なのは、運用担当者に負荷をかけない、限りなく簡単なユーザビリティとシンプルなインターフェースであり、「取説不要のプラットフォーム」(笑)の構築を目指しました。

そんなとき、ふとアメリカ事情を調べていた際、既にそれを実践している会社があることを知りました。それがChalk Digitalだったというわけです。

雪江

広告配信の場合、受け取るユーザー側だけではなく配信する広告主側にもメリットがなければなりませんからね。その両方を同時に満たすプラットフォームが必要というお話でした。

榎本

その広告主にとってのメリットというのがまさに、自分自身で顧客や配信したエリアの特性を知ることができるという点です。そのうえ、今までブラックボックスだった複雑な広告配信プロセスを直接自分の手で簡単に扱うことできて、好きなときに好きなだけ、納得感を持って配信することができます。

逆にユーザーにとってのメリットは、広告がのべつ幕なしではなくて、ある一定のエリアにいるとピンポイントで直接配信されてくることにあり、ユーザーにとってそれが有益な情報である確率は高まります。広告の質が絶対的に上がってくるわけです。

雪江

たとえば以前広告をクリックしたことのある人に別の広告を配信するといったことも、プラットフォーム上でできるようになります。駅前でティッシュを配っているときに、以前ティッシュを受け取ってくれた人にだけ配ったほうが効率がいいじゃないですか。そういった、今までできなかったようなアドテクノロジーの活用が気軽にできるようになっていきます。

榎本

一回配信して終わりではなく、その後のフォローもできるようになる。しかもそれを、広告主側で完結してできるということですね。

雪江

その通りです。ティッシュを受け取った人は何かしら興味がある人なので、その人がさらに興味が湧くようなことをしてあげる。そういったことがどんどん可能になってくると思います。そしてこれを継続して行うことで、次第にデータが蓄積されていって、データマイニングの世界に入っていきます。これを自社で行うことはかなりの強みになると思いますよ。

広告配信における「透明性」

榎本

こうした位置情報を活用した広告配信サービスには、類似サービスが多く存在しています。ですから、我々はそれらとの違いを出していきたいと思っています。最も大きな違いは「ディスクロージャー」にあると思っています。

広告の配信先は主にスマホアプリですが、そのアプリの数があまりにも多いので、どのアプリに広告が出たのかがなかなかレポートしづらいという問題がありました。実際、クリックのあったアプリの種類やその数値までレポートしているサービスは見当たりませんでした。広告主もさぞ配信の実感がなかったことと察します。

そこで我々は、実際にどのアプリに広告が出たのかというところまで切り込んで、リアルタイムで閲覧できる機能をダッシュボードに実装いたしました。

雪江

広告の配信状況をリアルタイムでモニタリングできる透明性ですよね。そこに切り込んでいるサービスは他に見たことがないですね。

榎本

まあ、そこはもしかしたらアンタッチャブルな領域だったのかもしれないですが。(笑)
でもそれを承知のうえで、今のこの状況をより良くするためにはどうしたら良いのかを、常にChalk Digitalさんと一緒に考えています。今まで人の手でやっていた配信のオペレーションをプラットフォーム上で広告主に完結していただくことで、労働効率は格段に上がると思います。ゆくゆくは業界の抱える問題解決にもなると良いですね。

ますます重要になってきたデータ活用

雪江

位置情報活用により、広告主とユーザーの双方にとってメリットのあるプロモーションが可能になってくると、必然的に扱うべきデータの量も増えてきます。ものすごい量のデータが、自分たちのデータとして使えるようになるのですが、問題はそれをどう加工するかですよね。

榎本

蓄積されるデータは一見、乱数の羅列のようなものなのですが、一度規則性を理解してしまえば、ここは配信場所を指していて、ここは時間を指しているということが分かってきます。しかし、そこから何を導きたいのかは当然自分たちで考える必要があり、情報整理能力が非常に重要になってきます。難しいプログラミングをやるわけではないのですが、とてつもない量のデータを様々な方向から考察したうえで検証すべくいくつかの仮説の方向性を示すためには、多くの引き出しを持っていないといけないと思います。

プラットフォームを提供するだけではなく、今後は我々が広告主のパートナーとして、データに内包されているインビジブルなコンテクストを読み取り、ネクストアクションをきちんと提示していけるようにならないとプレーヤーとしては失格だと思いますね。

雪江

広告出稿の部分を請け負う企業はそれこそ山のようにあるので、どれだけその後のデータ活用をしっかり行っていけるかが重要ですね。我々は出稿の部分はプラットフォーム上で簡略化しているので、その後のデータをいかに次のプロモーションにつなげていけるかが勝負どころだと考えています。

榎本

そうですね。配信を経て得られた各種データを次にどう活かすか、というところでは広告主と弊社とのエンゲージメントが強まるチャンスでもあります。位置情報を活用した広告は今後一層増えていくと思うので、PDCA上このデータをどう読み取ったらいいのかわからないという広告主側のニーズも絶対出てくると思います。そこを我々が上手く拾っていけたらいいですね。

雪江

そのためにまずは、やはり位置情報に関する誤解を解くところからですね。

「位置情報」は「個人情報」ではないが、これらが揃うと危険

雪江

最初に述べたように、ユーザー側が位置情報を提供するメリットが分かってくれば、自然と位置情報活用の機会が増えてくるでしょうね。

榎本

正しく理解してもらうにはもう少し時間がかかるかもしれませんけどね。でも確実に、ユーザーがポジティブに位置情報を使えるんだ、という認識になり、抵抗なくGPSをオンにするようになってくると思いますよ。

…ところで、位置情報に関して私が一つだけ気をつけているのが、SNSの投稿に位置情報が付加されてしまうことですね。ケースによってはオフにしています。

雪江

SNSの位置情報は私もオフですね。SNSの場合、個人情報つきで今いる場所がわかる場合があるじゃないですか。例えば私が自宅の位置情報つきで投稿をすると、泥棒とかがそういう情報をモニターしていて、海外休暇中などに家を狙われる可能性があります。

榎本

見方によっては、個人の顔を晒しつつ、「この人は今ここにいる!」って宣言することになりますからね。

雪江

個人情報と位置情報が紐付いてしまうと危険なので、そこは注意する必要がありますね。一方で、乗換案内アプリなどに位置情報を提供するのは、個人情報の提供にはならないので、この違いを理解することが非常に重要です。是非、多くの方々にこのことを知ってもらいたいです。

榎本

位置情報をオープンにしたほうがベネフィットを得られる上にデメリットがないケース、個人情報と位置情報が紐付き、それが第三者に知れることでリスクが発生するケース、それらをきちんと冷静に整理したうえで改めて位置情報活用について理解してもらえれば、広告主にとっても、ユーザーにとっても、そして我々にとってもよりパワフルなプロモーションがchalk_spreADで可能になると信じています。

【リリースはこちら】
電通テック、生活者の位置情報を活用し、売り場視点の広告をRTBで即時配信できるデジタルプラットフォーム「chalk_spreAD(チョーク_スプレッド)」を米国Chalk Digital社との協業で提供開始
https://www.dentsutec.co.jp/news/2017/20170124/

編集後記

今回の対談の取材を行うにあたり、日頃自分がどれだけ「位置情報」を提供しているのかをあらためて調べてみたところ、地図アプリを筆頭に、乗換案内アプリ、天気予報アプリ、そして店舗検索アプリ・Webサイトで位置情報を活用していました。常にGPSをオンにしているため、一日の移動経路や訪れたお店の名前を地図上で確認することもできました。便利な時代になりましたね。
「位置情報=危険なもの」といった認識を持つ人がいるのもまた事実ですが、今後位置情報サービスが増えていく中で、そのメリットを多くの人が享受し、ポジティブなイメージに転換していけるよう、我々がプロモーションという形でお手伝いしていきたいと思っています。(野口)

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Written by:
野口 洋人