2019.01.25

“レコメンドされる旅を好む人”の潜在ニーズとは?

旅行アプリに見る、手間なく自分のセンスに合う旅の発見願望

週末のお出かけから連休の旅行まで、「旅」は大きな消費行動を生むアクティビティ。旅行・観光市場を見ると、日本人の国内日帰り旅行と宿泊旅行を合わせた年間の述べ人数は、6億人前後とほぼ横ばいです
世の中の情報が増え旅行情報も氾濫する中、ユーザー同士の「センス」を起点とし、自分の興味に合ったスポットが見つかる旅行アプリが支持されています。このアプリで旅を選ぶユーザーは、何に惹かれているのでしょうか。Deaps Technologies株式会社 執行役員の芝野 緑さんにお話を伺いました。
※参考:国土交通省 観光庁 観光統計「旅行・観光消費動向調査」平成29年4月

目次

今は、旅行したい人が希望の旅行を見つけづらい環境

芝野 緑(しばの・みどり)さん
Deaps Technologies株式会社 執行役員・芝野 緑(しばの・みどり)さん

――若者の海外旅行などが減り、旅行したい人は増えていないという説もありますが、実際にはどうなのでしょうか。

旅行をしたい人や、能動的な若者がいなくなったわけではありません。「行きたいけど探す時間がない」「情報が多すぎて見つけられない」ということだと考えています。実際に「次の休みに出かけたい」とは思うものの、旅程の検討や予約に割く時間がなく、出かけそびれてしまった……、などの経験を持つ人は多いと思います。

――そういった経験は誰にでもありそうです。「Deaps」はどんな特徴を持つアプリなのでしょうか。

旅の思い出や情報を地図上でシェアするアプリです。旅行先の比較検討や、旅程の作成、情報のまとめや共有も可能です。ユーザーの興味・関心をAIが分析してスポットをレコメンドする機能があり、「自分好みの旅」が発見できるようになっています。iOS用で現在15万ユーザーに利用されており、20~30代の方をメインに老若男女問わず幅広いユーザーに使って頂いています。(2018年12月現在)

Deaps
左から、ホーム(メイン画面)、ハッシュタグマップ、AI分析による興味のあるアクティビティ、コレクションページ。興味や現在地、選んだハッシュタグやフォローしたユーザーの投稿を元に、おすすめのスポットが表示される

――素敵なスポットや写真を共有できるアプリは、数多くあります。中でも「自分好みの旅が見つかる」とは、どういうことでしょうか。

Deapsは旅行アプリなので、ユーザーは、知り合いなどのつながりではなく、純粋に「趣味嗜好や関心のみ」で繋がりやすいという特徴がありますね。また、閲覧記録やユーザー同士の繋がりなどからも自動的に興味・関心を学習、それに基づくおススメスポットをレコメンドします。
2018年11月には、iPhoneの端末内のカメラロールに保存された画像を分析する、エッジAI技術を活用した興味関心分析の機能(iPhone 8以降で利用可能)も実装しており、好みの旅が高精度で見つかりやすくなっています。

クラウド上のAIを使わず、端末内で分析を処理するためプライバシーを保つことができ、利用開始当初から高精度のレコメンドが可能

「好みに合うものを提案してほしい」というニーズ

――このアプリで自分好みの旅を見つけたいと考えるユーザーは、どんな人たちでしょう。

とくに「スマホからより効率的に行きたい場所を見つけたい」「既製のツアーなどに満足できない」「自分の好みにぴったりのものが欲しい」「多くの情報から最適解を選びたい」というユーザーがよく使っています。

また、「自分では見つけられないので、レコメンドしてほしい」「自分の行きたいところに行きたいけれども、どこに行きたいか分からない」という人たちもいます。一見相反するようでも、実は多くの人が共感できる意見ではないでしょうか。

出かけたいけど行先は未定で、そもそも何から検索していいかもまだはっきりしない。そんな人も、自分と好みの近い人の投稿やレコメンドから、「自分も行きたい」「体験したい」と感じるきっかけを見つけることができます。

――そのようなユーザーに向けての強みはどんなところでしょうか。

アプリ内の繋がりで、自分と好みの合う人が投稿した場所からおすすめが抽出されるという、信頼できる“センスが起点”であることが、ユーザーの願望にフィットする第一の強みです。センスの合う人同士が、旅のガイドになりあうようなイメージですね。細かな口コミ情報によっては、ガイドブックにはないニッチな情報やディープな地元スポット、場合によっては、混雑を避ける裏技、お得な情報なども知ることができます。

もう一つの強みは上述のエッジAIによるレコメンドです。「モノや場所の写真を熱心に撮った」という行動からは、それに対するユーザーの満足度が高かったということが分かります。それを気に入って、お金を使ったという証拠の一つになるからです。

「旅行」も「写真」も、その人の趣味嗜好や、センスが非常に出やすい行動です。二つを掛け合わせることで、必ず気に入る情報から思いがけない提案まで幅広いレコメンドを受けられ、マッチング率が高まります。AIなら情報の品質やボリュームも安定して確保できます。

国内だけではなく、韓国、台湾、中国を始め、世界中のおすすめが投稿されている。思ってもみなかったスポットやグルメ情報が見つかることも

「まだ本人も気づいていない意外な好み」がポイント

――ユーザーが「Deaps」を支持する理由や価値を、どう分析されていますか。

ある調査によると、旅行の計画にインターネットを使う人は約85%にのぼります。しかし、調べ始めた時点ではどこへ行くか決まっていない人が約40%いるようです。しかも「調べても欲しい情報が思うように見つからなかった」という人は、ネットを利用した人全体の半数を超えます。

ネット検索は、欲しい情報を自分から取りに行くプル型の典型ですが、情報が氾濫し、多すぎる時代に、自力で好みの情報を探すことが困難になっているというのが一般的な課題です。キュレーションメディアや旅行好きのブログなども無数にありますが、ユーザーが本当に満足できる旅を実現するには、そこからさらに自分とセンスが合うところまで絞り込まれ、よりパーソナライズ化された情報が求められてきます。

また、「知っていたら行けた」「知ることができれば行きたい」というニーズもあります。たとえば「明日の午後、SNSで映える場所に行きたい」「帰り道にもう1カ所どこかへ寄りたい」という欲求は、最適な選択肢や効率のよいルートが提案されれば、最短で叶えられますよね。

旅行業界全体を見ても、検索型やカタログ型での旅探しには限界があると考えられ始めているようです。実際に、レコメンド型の提案を始めている旅行サービスは増えています。

――今後「旅行アプリ×AI」の世界は、どのように広がっていくでしょうか。

アプリとしては、今後はECサイトなどとも連携して、検索から予約、購入までをさらに便利に、シームレスになることを目指しています。

顕在化したニーズに加え、まだ本人も気づいていない意外な好みや、現状は関心がなくても興味を持てるスポットなどもあるはずです。そういった、隠れた趣味嗜好をどう発見していくかについては、取り組んでいきたいことの一つですね。『若者の旅行離れ』といったフレーズも目にしますが、そう考えてはいません。行きたいところがあれば、人は出かけるものでしょう。

「#聖地巡礼、#タピオカミルクティー、など、ニッチな情報、旬の情報も豊富です。お出かけのお供にしてください」

パーソナライズ化の波は旅行業界にもすでに普及している中で、センスの合う人のつながりを起点にしたサービスが伸びているようです。また、効果的なAI分析・活用によって、レコメンドの精度やマッチング率が向上することも分かりました。「手間なく」「ユーザーのセンスにぴったり合う」ものを提供するという着眼点は、今後のプロモーションにも生かせそうです。

Written by:
BAE編集部