2017.12.14

企業プロモーションから読み解く #インスタマーケティング

企業とインフルエンサー間での「世界観」の共有がSNS施策の鍵

企業ブランディングを行う上で、ソーシャルメディアマーケティングが主流になってきています。 すでに多くのSNSサービスがありますが、特に存在感を増してきているのが、ビジュアルコンテンツ特化型のインスタグラム。「インスタ映え」というコトバは、2017年の新語・流行語で年間大賞を受賞したばかり。 今まさに旬のインスタグラムをプラットフォームにした企業プロモーションの実践的な活用術を紐解いていきます。

目次

インスタグラムは文字がメインのコンテンツよりエンゲージメントが高いとして、マーケティングに取り入れる企業は増加中しています。ビジネス利用のアカウント数も2,500万社を突破し(2017年12月時点)、ここ5か月で1,000万社増加しているとのこと。様々な機能が追加され、独自のコンテンツを強化している注目度の高いプラットフォームです。
そんなインスタグラムに欠かせないのがインスタグラマーというインフルエンサーの存在。インフルエンサーをうまく巻き込みながら、ソーシャルメディアを軸に企業ブランディングを成功に導くためのポイントやノウハウを事例を交えて語っていただきました。

左から
足立麗奈: 
電通テック クリエイティブセンター所属。
女性目線のコミュニケーションプランニングやソーシャルメディアPR業務に携わる。
久林紘子: 
パーティー&空間スタイリング事業Tokyo Flamingo代表。
2017年度VERY的インフルエンサー大賞受賞。
寒河江麻美: 
電通 プロモーション・デザイン局所属。
女性をターゲットにした商品のプランニングをはじめ、
ブランドコラボレーション・商品開発や企業ブランディング業務に携わる。

コンテンツは「発信」とセットだからこそ生きる

——トリンプ・インターナショナル・ジャパンの事例を元にインスタグラムマーケティングを語る。

寒河江

トリンプのAMO‘S  Styleというブランドの2017年度の年間コミュニケーションの一環で、インスタグラムを活用した施策を実施しました。
トリンプさんの課題は3つ、1つ目は20〜30代の女性に向けてのリブランディング、2つ目はフットフォール(来店率)の向上、そして最後3つ目は購入促進でした。3つの課題を解決するためのプロジェクトを「オトナ化計画」と題して、戦略的にトータルプランニングを考えようということになりました。

足立

これまでの可愛いだけのイメージからリブランディングするには、よりファッション感度の高いオシャレな女性にも積極的に手にとってもらうコミュニケーション設計が必要でした。そこで、様々な企業のプロモーションを手がけられているパーティースタイリストのTokyo Flamingo代表・久林さんにご協力いただくことにしました。

足立

インスタグラムのアカウント運用のほかに 「オトナ化計画」のコンテンツも立ち上げました。1つ目が、有名スタイリストを起用した、ファッション×下着のコーディネートコンテンツ「Amo’s closet」。そして2つ目が、アモスタイルと過ごすライフスタイルをインスタグラマーが提案するオウンドメディア「Amo’s diary」です。

※1 「Amo’s closet」 ファッション×下着のコーディネートコンテンツ
※2「Amo’s diary」 インスタグラマー連動型プラットフォーム
寒河江

今回私たちが特に意識したのがコンテンツを「発信」とセットにすることです。せっかく素敵なコンテンツを作ったとしても、外に拡散されずターゲットにリーチしないまま自己満足で終わってしまうケースは、デジタルプロモーション施策においてありがちです。そのため、プランニングの際に、このポイントを意識するようにしました。

足立

インフルエンサー施策は、年間で効果を最大化していくために、単発だけでなく、一定期間運用し、効果測定しながら最適化を図っていくようなスタイルにしました。ユーザーの反応を小まめにウオッチしながら、PDCAサイクルを回し、エンゲージメント率に応じて、キャスティングやコンテンツの演出をコントロールしました。
久林さんに投稿を監修していただいたことで、公式アカウントのフォロー数が1年間弱で2倍以上となりました!

オンライン(デジタル)とオフライン(店頭)の世界観を統一させることが重要

足立

SNS上の発信だけがゴールでは決してありません。
オンオフ統合の視点で、ソーシャルを起点に店頭やその先にあるお客様の消費行動に繋げていくことが何よりも大切だなと実感しいます。

寒河江

来店率、購入促進を強化すべく、インフルエンサーには、実際に店頭に行ってもらい、フィッティングの様子や使用感など生の声を発信していただきました。つまり、オンライン(デジタル)とオフライン(店頭)をきちんとセットで繋げるということですね。

久林

例えばウォールで偶然目に触れたビジュアルの世界感が、店頭をはじめ、お客様にお渡しするノベルティにも繋がっていないとブランドを喚起しにくくなってしまいます。購買促進のためにも、クリエイティブの統一を意識しました。

ハロウィンの事例:インスタグラムの投稿を店頭やノベルティの世界観にも活かす
左2枚目 ノベルティ事例 / 右 店頭事例

24時間限定の「ストーリー」は活用の価値あり

——最近は静止画だけでなく、企業における動画の活用も活性化していると思います。その辺りはどのように捉えていますか?

足立

インスタグラムの機能の中でも瞬間を切り取って、ムービーで発信するストーリー(24時間限定)のニーズが特に高まっています。24時間限定の公開だからこそ価値が高まるという視点を活かして、企業側であればPRイベントのリアル中継、新商品のティザー告知、24時間限定のショッピングクーポン配信など多様な活用の方法があります。

寒河江

静止画で表現することと、動画(ストーリー)で表現すること、それぞれ目的やニーズに応じて、多種多様な機能を使い分けていく中で、サービスやブランドに対するエンゲージメント率をあげていくということが重要ですよね。

久林

ストーリーは、URL挿入やタグ付けが手軽にできるので、オフィシャルの公式アカウントに飛ばしやすいという特性も。
足跡機能もあるため、どんなフォロワーに支持されているかもわかり、PDCAを回すことがしやすいSNSです。

※キャプチャ ストーリー
足立

余談ですが、インスタグラムから直接ショッピングできるShop Nowという機能が注目されていたり、ソーシャルという枠を超えてますます進化する付加価値の機能をこれからもウォッチしていきたいと考えています。

企業とインフルエンサーの間でいかに信頼関係を築くか

寒河江

企業アカウントは、クライアント自身が運用しているケースも多くあります。インスタグラムを使ったブランディングには、先ほども述べたようにウォールの世界観の統一が大事なのですが、継続的に情報発信しなくては!という思いでとりあえず何か投稿したり、リグラムしたくなってしまう気持ちが少なからず存在します。でもせっかく作り上げた世界観も、1枚の世界観の違う画像を取り入れてしまうことで印象がガラっと変わってしまうんです。

久林

世界観を壊してしまうなら、無理に投稿しない方がいいですよね。
クライアント側の視点を考慮すると、自社製品に思い入れがあればあるほど、つい発信したいビジュアルやハッシュタグを細かく規定してしまいがちですが、それが逆効果に働いてしまう場合もあるのかなと。

足立

そうですよね。
インフルエンサーを起用する時は、最小限の規定で充分だとおもいます。
その後はいかに「インフルエンサーが発信したくなる空気作りを演出するのか?」に注力してみる。そしてそれ以外は思い切って彼女たちに全てゆだねることで、結果、プラスに働くことが多いなという印象があります。
海外では特に顕著ですが、日本でも、インフルエンサーをタレント同様に扱い、年間契約を結ぶ大手メーカーが増えてきており、単発の商品PRという枠を超えて活動の領域が広がっています。
企業の顔として活躍しながら商品開発にも携わることで、よりリアルターゲットへの行動喚起につながっていくのでは・・・と思います。

寒河江

良質なインフルエンサーさんをアサインできるかも大切なポイントですね。
どれだけ商品やサービスに想いを寄せているかによって、結果PR効果は大きく変わってくると思うので、それを見極めてアサインしていくことを意識しています。
また、結果を出すためには、企業側からの歩み寄りも大切で、彼女たちのインスタグラムが素敵に演出できる創意工夫を凝らし、企業&インスタグラマー間で信頼関係を築いていくことが、何よりも必要なことかなと思います。

足立

投稿する商品やサービスをシンプルに好きになってもらうことですよね。 インスタグラマーを集めて、商品について知ってもらうための「座談会」などを開いたりもしましたが、直接クライアントとインスタグラマーがコミュニケーションできる場を設けるだけで、彼女たちのモチベーションが高まるのが実感できました。
「これ面白い」「この商品にはこんな想いがあったんだ」ということを理解してもらうだけでも、アウトプットが変わってくると思います。

いかにトレンドの先駆けとなるか?~常に新しいモノ、コトを仕掛けるという視点~

足立

インスタグラムで発信するときに意識したいもう一つのポイントが、いかにトレンドの先駆けを作っていくか?ということに尽きると思います。
ウォールが投稿であふれかえる中、「好き」「嫌い」の判断は秒単位といっても過言ではない。一瞬で、見た人を惹きこむ世界観を作っていくためには、5年後、10年後にくるトレンドを先読みして、常に新しいモノ、コトを仕掛けていくことも大切です。
久林さんの、トレンドを読むインスパイアの元はどういったところにあるのでしょうか?

久林

海外に目を向けて情報のアンテナを張り巡らせることを意識しているつもりです。今やハロウィンですら飽和状態といわれている中で、私が注目しているネクストトレンドの1つがイースターです。
春は、新生活・お花見以外に意外と大きいトピックスがないので「卵」とか「ウサギ」など万人に受けやすいモチーフのある「イースター」には、消費を活性化させる潜在的なチャンスがまだまだあるのかなと・・・
イースターに関してはすでに色々仕掛けている企業も多いですが、もう少しニッチなところでいうと、1月のガレット・デ・ロワ文化(注1)や11月のサンクスギビングデーなどもネクストトレンドとして注目しています。

寒河江

久林さんには、毎月訪れるシーズナリティに合わせて様々なビジュアルやハッシュタグもご提案いただきました。
例えば、BOHOスタイル(「ボヘミアン」+「ニューヨークのソーホー」を掛け合わせた造語)を初めて聞いたとき「!!」と思いましたが、今ではそのセンスの虜になっています(笑)

バカルディジャパン株式会社
東京ミッドタウン MARTINIスペシャルラウンジ「MARTINI Holiday Lounge」空間スタイリング
久林

ありがとうございます(笑)
消費が「モノ」から「コト」へと言われて久しいですが、インスタグラムも同様で、コトで見せるシーンや、半歩先の体験や時間、空間に、うまく商品を落とし込む、また半歩先のトレンドを仕掛けながら発信していくことを今後も意識していきたいです。

※イメージカット:上からイースター(4月)、ガレットデロワ(1月)、サンクスギビングデー(11月)
注1)フランスで新年のお祝いに欠かせない伝統菓子。パイ生地ガレットの中に、フェーヴ(陶製の人形)が入っている。 切り分けたパイの中にフェーヴが入っていた人は、その日の主役として紙の王冠をかぶる風習がある。

インスタグラムでのマーケティング・プロモーションの効果を最大化するには、世界観の統一や機能の使い分け、トレンドを先読みするセンスが求められるようです。
それに加えて、施策に携わる関係者同士のリレーション作りや、発信者としてのインフルエンサーのファン化も大事な要素。互いの信頼関係を築いていくことで、消費者たちの大きな共感を生む統一された世界観の形成を可能にする。このことが、今回の対談から見えてくる大きなヒントとなりそうです。

久林 紘子

パーティー&空間スタイリング事業Tokyo Flamingo代表

企業プロモーションをはじめ、雑誌やカタログ、CMの総合空間スタイリング等多領域で活躍の場を広げ、今年VERY的インフルエンサー大賞を受賞。

寒河江麻美

電通 プロモーション・デザイン局所属。

女性をターゲットにした商品のプランニングをはじめ、ブランドコラボレーション・商品開発や企業ブランディング業務に携わる。

足立 麗奈

電通テック クリエイティブセンター所属

化粧品・アパレル・日用品・食品メーカー等を中心に、女性の様々なライフスタイルやサービスを起点としたコミュニケーションプランニングに携わる。現在は、ソーシャルメディアにおけるPR業務の領域にも注力している。

Written by:
BAE編集部