2018.06.13

メンタリストDaiGoが語る「SNS時代のデジタルプロモーション」

SNSでテストマーケティングなど、新たな活用法も

英国発祥の“メンタリズム”を習得したメンタリストとして、多くのテレビ番組に出演。現在はビジネスの分野でも活躍中のメンタリストDaiGoさん。”知識の最大化”をテーマに、日々あらゆる分野の学術書を読みあさり、その知見は心理学だけでなく、マーケティング分野にまで及びます。

企業のアドバイザーやコンサルタントの顔も持つDaiGoさんに、「SNS時代のデジタルプロモーション」をテーマにお話を聞きました。

目次

企業が想像している以上に、現代の若者は賢い

メンタリストDaiGo
メンタリストDaiGo/近年は執筆活動にも注力し、その累計は230万部を突破。ビジネスアドバイザー、コンサルタントとしてビジネス分野でも活躍中

――講演を行うなど、マーケティングの知識も豊富なDaiGoさんですが、マーケティングに興味を持ったのは、いつ頃だったのでしょうか?

大学時代ですね。当時、後輩が自分でビジネスをしていたんです。非常に好調だったのを見て、“商品を売る方法”に興味を持ち、マーケティングについて勉強するようになりました。それが僕にとっての、マーケティングの原点です。

――そんなDaiGoさんが思う「マーケティング」とは?

“Marketing”と書くと難解な印象を受けるかもしれませんが、実は非常にシンプルなものだと考えています。「商品を売るための戦略を立案し、施策を実施する。その効果測定をもとに内容を改善し、次の施策をまた実施する」そのサイクルを指す言葉ですよね。

また個人的には、マーケティングとプロモーションの区別はあまりしていません。プロモーション(施策)もマーケティング活動のひとつですから。

――では、現在のデジタル領域でのプロモーションについて、どのように考えていますか?

1人ひとりに会って、「これを買ってください」とお願いするのは、非常に非効率ですよね。その点、デジタルプロモーションは、さまざまなサイトを通じて広くユーザーに伝播できますし、ターゲティングもできる。とても理にかなったプロモーションという印象です。

ただ一方で、ユーザーがデジタル広告に触れる機会も増え、「広告が効きにくくなった」という話も聞きます。しかしそれは、ユーザーがデジタル広告に慣れたのではなく、「ユーザーが賢くなったから」なのではないでしょうか。

10代の若者たちは現在、知りたいことがあれば、“ググる”のではなく、TwitterやInstagramで検索しています。その理由を彼らに聞いてみると、「SEO対策がされている以上、検索順位は真実を示していない」と答えました。たしかにTwitterやInstagramには、SEOのような概念はありませんから、人気の高いものが上位に表示されます。そこに彼らは“真実”があると考えているわけです。

それを聞いた瞬間、彼らは僕たちが想像している以上に、インターネット検索の仕組みを理解しているし、非常に賢いのだと知りました。その 前提に立ってデジタル広告を作らなければ、“効く広告”を作るのは難しいのではないでしょうか。

デジタルプロモーションは、“いい広告”が生まれやすい領域

――では、現代における、“いい(刺さる)広告”とは、どんなものだとお考えですか?

賢くなった生活者には、質より量に頼った手法や、批判的な反応を恐れての当たり障りのないキャッチコピーを使った広告は刺さりません。なぜなら、彼らはデジタル広告の良し悪しを見分ける目を持っているからです。

また、刺さらないアプローチを採用する企業はどこかで、「ユーザーは自分たちよりも無知である」と思い込んでいるように見受けられます。しかしそれでは、永遠に“いい広告”を生み出すことはできません。

個人的には、何事も基本が大切だと思っています。広告(メッセージ)を届けたいのならば、やはり“基本”を忠実に実践することが重要なのではないでしょうか。

では「広告における基本とは何か?」。20世紀の三大広告人のひとり、ジョン・ケープルズは著書『ザ・コピーライティング』の中で、こんなふうに語っています。「広告を打ったらテストする。反応がよかったものは継続する」。これがいまも昔も変わらない、“広告の基本”だと僕は考えています。

どれだけデジタル化が進み、生活が便利になっても、人間の根本は変わらないはずです。ですから広告を出稿する際も、ユーザーの反応を見ながら、微調整を加えていく。それを愚直に繰り返すなかで、“いい広告”に辿り着けるのではないでしょうか。またデジタルプロモーションは、トライ&エラーのしやすい領域ですから、“いい(刺さる)広告”が生まれやすい環境にあると感じています。

つまり、ユーザーが賢くなった“SNS時代だからこそ”、基本に立ち返ることで、現状を打破できるケースが多くあると僕は考えているのです。
 
――ちなみに、効果の出る広告を考える上で、心理学(メンタリズム)の活用は有効でしょうか?

はい。人は論理ではなく、感情で動く生き物ですから。だからといって、自分も感情的になっていいというわけではありません。「ユーザーにエモーショナルに訴えたい!」と情熱的に語る人もいますが、もっと冷静であるべきだと思います。

感情的になるのは、あくまで顧客であって、作り手ではないはずです。作り手は常に冷静、かつロジカルに、「どうしたら顧客にエモーショナルな体験を届けられるか」を考え、その成否を見極めることが重要です。

それを考える上で、心理学は役に立つはずです。なぜなら普段、感覚で捉えていることを、心理学は体系的に説明している学問だからです。プロモーションにおいて肝となる人の感情や熱狂など、言葉で説明しづらい現象も、心理学なら論理的に説明することが可能です。ですから人の心を動かすのが「プロモーション」の役目だとするならば、心の科学である心理学が生きる場面は多くあると思います。

“シェア”だけではない、SNSの利用法

――DaiGoさん自身は現在、デジタルやSNSをどのようにマーケティングに活用していますか?

最近だと、書籍のタイトルを決める際は、SNSを利用するケースが多いですね。まず、編集者の方と本1冊につき、100個くらいタイトル案を出し合います。それをネット検索して、同名の本がないかをチェック。最後はTwitter上でアンケート調査を実施し、タイトルを決定しています。
 
ありがたいことに、僕はフォロワーが30万人以上いるので、Twitterのアンケート機能を使うと、多くのユーザーが協力してくれます。

フォロワーは基本的に、僕に興味を持ってくれている“見込み客”ですから、彼らに聞くのが、いちばん効率的で、正確な答えが得られます。またアンケートを実施すると、毎回1〜2万票くらいの回答が集まります。これなら統計学的な優位性も保たれていることになりますから、信頼できる結果と言えます。それをもとに、タイトルを最終決定している、というわけです。

ときどき、「編集部でアンケートを取った結果、こちらの案が……」とおっしゃる方もいますが、身内だけを対象にしたアンケートは、統計学的な結果とは言い難いですよね。また、そういう不確かなものを、僕はまったく信頼していないので、申し訳ないのですが、参考にしないことが多いです(苦笑)。

――SNSを利用したアンケートは、企業のプロモーションにも応用できそうですね。

はい、できると思います。想定しているターゲット層を多く抱えているアカウントに、Twitter上でアンケートを実施してもらう。その回答を商品企画やプロモーションなどに生かす。充分にあり得るのではないでしょうか。今後SNSの活用法として、こうした新しい可能性を模索してもいいように思います。

現代は“SNS”と聞くと、どうしてもシェア(拡散)ばかりに注目しがちですが、先ほどの例のように、テストマーケティング的にSNSのアンケート機能を利用するなど、他にも活用法はあるでしょう。同様に、デジタルプロモーションにも、まだまだ多くの可能性が眠っているはずです。ぜひ新しいアプローチを見つけ、現代の賢い生活者たちを驚かせてほしいですね。

Written by:
BAE編集部