2017.12.25

IoTがある社会の、これからのプロモーションを考える(第4回)

IoTの本質は「共創」、そして「クリエーティビティ」である

IoT(Internet of Things/モノのインターネット)という言葉を耳にする機会が増え、音声認識サービスやウェアラブルデバイスも日常生活に浸透し、企業のビジネスモデルも急速に変化しています。IoTは私たちの生活にどのような変化をもたらし、マーケティングやプロモーション領域でどのような新たな価値を創出できるのか。IoT業界の識者の知見からそれをひもとき、プロモーションの未来を探ります。

第4回は、ソフトバンク株式会社にて法人向けにIoTサービスを提供・支援している法人事業統括部 デジタルトランスフォーメーション本部 吉田政人さん、テクノロジーユニット技術戦略統括IoT事業推進本部 中島裕司さんにお話を伺いながら、ソフトバンクの提供するサービスや取り組み、あるいは他企業の事例をもとに「IoTの本質」に迫ります。

目次

データを価値に変える二つの軸

「IoTとは何ですか」という質問に対して、ソフトバンクも含め多くの企業が「データを価値に変えること」とお伝えしているかと思います。
それでは、実際にデータを価値に変えるとはどういうことでしょうか。一つは、データを社内の業務に活かし、効率化や品質改善に繋げるということ。もう一つはデータをサービスの付加価値にするということ。この二つの軸がデータを価値に変えるIoTの主な活用法になると考えます。
二つの軸となるIoTの活用方法の事例を、それぞれ挙げてみましょう。まず「業務改善」には、例えば「インダストリー 4.0神戸プロジェクト」と銘打った神戸市の取り組みがあります。
これは、神戸の中小企業の競争力を強化するために、IoTセンサーを使って製造工程の可視化やサプライチェーンの最適化を行ったプロジェクトです。製造ラインを可視化することで、発注元と発注先の中小企業の納期・検品作業を不要にし納期の削減に結びつきました。

もう一方の「サービスの付加価値化」については、航空機エンジンを取り扱うゼネラル・エレクトリック社の先例が有名です。同社は、ある時からエンジンを売るのをやめて、飛行距離に応じてエンジンを使用した分だけお金をもらうシステムに変更しました。さらに保守にかかるコストを効率化するため、故障検知や機体走行のデータ分析もスタート。すると、燃費の悪い機体はルート選択が問題だったとか、故障が起こる機体の多くが砂漠の上を飛んでいたなど、これまで航空会社が気づいていなかった事実をデータとしてアドバイスできるようになり、「モノを売る会社からサービス会社へ」変化したのです。

ここで面白いのは、最初にデータを集めていた時は保守の効率化という目的があったのに、データを集めていったことでさらに新しいサービスが生まれた、という点です。

IoTの世界では、データの価値がこのように成長していく。最初にIoTを始めたときに生み出したいと考えた価値に加え、データを集めていくことによって、またさらに新しい価値が生まれる。そういったところがIoTの世界にはあると思います。

IoT活用が促進されるためのインフラ整備の取り組み

ソフトバンクのIoTに関する取り組みと、IoTプラットフォームに関してご説明します。IoTのサービスを使用するには、インターネットが必要です。ソフトバンクは回線やデバイスの提供と合わせ、プラットフォームやAPIの提供にまで取り組んでいます。

OneWebの公式サイト

一つの例として挙げたいのが「OneWeb」です。900もの小型の低軌道衛星で、地球をすっぽりと包みこむようにネットワークを張り巡らせることで、2027年までにインターネットに接続されていないエリアを2027年までになくすことを目標にしている事業です。2022年までに世界中の学校のオンライン化を目指しています。

低軌道衛星を使った宇宙からのインターネットインフラの整備は、大容量データを高速・低遅延で通信することを可能とする新たな取り組みとして期待されています。これによって、いままでは通信インフラがなかった場所でもIoTを利用できるようになりますし、コネクテッドカーのようなものもどこでもデータが送受信できるようになります。また、飛行機や船舶といった場所でのインターネット利用も広がります。

あらゆるIoTサービスにフィットする環境を提供する

ソフトバンクは、OneWebのようなサービスに取り組むだけではなく、裏側を支えるネットワークの準備も進めています。

一つはいま話題のLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる低消費電力でIoTセンサーに最適なネットワーク環境です。また、遅延の少ないLoRaWANやNB-IoTという規格もあります。

その一方で、IoTで使われるのはセンサーばかりではありません。動画カメラのようなものもありますから、一気に大容量を送受信することが可能なものが登場すれば、新しいIoTサービスも可能になります。5Gのような高速次世代通信もまた、IoTの進化には欠かせません。

ソフトバンクが提供する5Gの有力な要素技術の一つである「Massive MIMO(マッシブ マイモ)」の概念図(ソフトバンク株式会社ホームページより)

当社は、こういった通信環境だけでなく付加機能、APIを豊富に揃えることで、IoTプラットフォームとして展開し、データを価値に変えるお手伝いをしています。「IoT as a service」と捉え、企業様に様々なIoTのためのサービスを提供、“サービサー”になっていくというビジョンです

IoTの本質は「共創」と「クリエーティビティ」

ソフトバンクが考えるIoTの本質は、一つは「共創」、もう一つは「クリエーティビティ」です。

「IoTの本質は共創である」ということに関しては、IoTはモノがインターネットに繋がるだけでなく、モノが生み出すデータがさらに別のデータと繋がることで、新しい価値が提供できるからです。

また、データのマッシュアップによっても新たな価値が生まれます。例えば、集められたデータは、また別のAPIを通じて違うサービスに活用されることで、新しい価値が生まれてくる。データの共創による価値の創造です。

もう一つは、クリエーティビティです。いままで技術の話をしてきましたが、実はこういった技術も、あくまでビジネスを行うための手段にすぎません。実際に新しい価値を創出していく段階ではクリエーティブの力やアイデアが必要です。

——企画や新たな発想がIoTを活用して現状のやり方を変えていく、そのためにはクリエーティビティが常に先立つ。そういう意味では、IoTのプラットフォームの上位にはクリエーティビティ層が必要なのであり、クリエーティビティこそがゲームチェンジャーになるとも言えます。ありがとうございました。 (BAE編集部)

(写真左)
ソフトバンク株式会社 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 ビジネスエンジニアリング統括部 ビジネスエンジニアリング2部 部長
吉田政人さん
(写真右)
ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット 技術戦略統括 IoT事業推進本部 事業企画統括部 事業開発部 部長 中島裕司さん

Written by:
BAE編集部