2017.10.20

IoTがある社会の、これからのプロモーションを考える

「データを使って誰をどのようにハッピーにするかが大事」IoT施策の基本的な考え方

IoT(Internet of Things/モノのインターネット)という言葉を耳にする機会が増え、音声認識サービスやウェアラブルデバイスも日常生活に浸透し、企業のビジネスモデルも急速に変化しています。IoTは私たちの生活にどのような変化をもたらし、マーケティングやプロモーション領域でどのような新たな価値を創出できるのか。IoT業界の識者の知見からそれをひもとき、プロモーションの未来を探ります。
初回は、“そもそも「IoT」とは何なのか”をニフティIoTデザインセンターで企業向けにIoTソリューションを提供してきた、富士通クラウドテクノロジーズ株式会社の西尾敬広氏に伺いました。

目次

IoT自体は「概念」、デバイスはデータ取得のツール

「IoT」は数年前からデジタルメディアで盛んに取り上げられるようになりました。とはいえ、まだまだビジネスパーソン一般まで広く浸透しているとは言い難く、1年ほど前に実施した渋谷の街頭調査では、「IoT」を知っていると答えた人はわずか10人に1人以下だったと聞いています。

恐らく、「IoT=モノのインターネット」という言葉が分かりづらいのでしょう。よく、IoTはデバイスか、テクノロジーかなどと言われたりしますが、そのどちらでもなく、IoT自体は「概念」であり、「モノがインターネットにつながること」そのものです。
モノがインターネットにつながると、データの送受信が可能となります。Amazon Echoを例にとると、バーチャルアシスタントに話かけることで天気予報やニュースなどの情報を得たり、商品を購入できたりと、利用者にとってはサービスを受け取れるツールである一方で、事業者側にとってはサービスの提供を通じて「顧客のデータを取得する」ツールになっているわけです。
IoTの核心は「データ」です。どうしてもデバイスという側面ばかりに目が行きますが、データをいかに得て活用するか、がポイントなのです。

データをいかに価値化するかがIoT施策の鍵

「データをどう使って、誰をどのようにハッピーにするか」をプランすることが、IoTの企画提案において最も重要な点となります。

これまでユーザーデータは、利用者による入力に頼らざるを得ませんでした。ところが、IoTにより、コーヒーを飲んだ回数から味の好みや生活サイクルが自動的に分析されたり、ランニングで距離や体調、ペースが分かるなど、人間が体験したものが直接データに変換されていきます。これこそがコンシューマ領域のIoTにおけるもっともインパクトのある点であり、IoTは「アナログ」を「デジタル」に、言い換えると「体験」を「データ」に変換してくれるツールであるという点です。これはマーケティングの発想を大きく広げるとても重要な考え方だと思います。
IoTデバイスはすでに世界に64億個ほどあり、2020年には200億個を超えるといわれています。データを最も安価に大量に集められる方法がIoTだと考えていいでしょう。無料で肌測定器を配ったり、電力会社でスマートメーターに交換したりしているのもIoTで、そこから得られたデータを活用して未来予測や顧客接点の拡大、One to Oneマーケティングをやっていこうという表れですよね。
そこで大切なのは、取得したデータをどう活用してどんな価値を提供したいか、という設計があるかどうかです。

横串の提案をできることが広告会社の強み

インターネットにつながったモノは、PCやスマートフォンといった従来の接続端末に加え、家電や自動車、ビルなどへと拡大し、世界中の様々なモノがインターネットにつながり始めています。そこで集めるデータをどう使うか、Webマーケティングや企画を練る際に、オーディエンスデータ、オープンデータなどと組み合わせながら、横串で提案ができることが、広告会社の魅力であり強さだと思います。

—IoTによって、消費者の生活や行動そのものがモノを通じて見えるようになった事で、マーケティングにおけるパラダイムシフトが起こり始めていると実感。逆に言えば、企業活動に必要なデータは、その行動を喚起できるようなモノを作れれば生み出せるという事になります。
これからIoT市場が大きく成長するなか、そこから生み出される膨大なデータをどう扱い、どのような価値を創造し、企業や世の中の課題を解決していくのか。それが試されると同時に、プロモーションの可能性も広がる面白い時代に入っていると感じました。
ありがとうございました!(BAE編集部)

西尾 敬広氏

富士通クラウドテクノロジーズ 株式会社 デジタルIoTソリューション部 マネージャー

前職であるニフティ株式会社で、「ニフティクラウド」の立ち上げに参画し、セールス、Webマーケティング、商品企画担当などを歴任。2015年にはIoT市場のマーケティング担当に就任。2017年4月より、富士通クラウドテクノロジーズ株式会社。

Written by:
BAE編集部