電通テックの商品開発ユニット「mikke design lab.」が手がけた「テープノフセン」が2017年度グッドデザイン賞を受賞。商品開発を軸に、企業の抱える課題を解決する取組みとは。

  1. まだ世の中にないものを一緒に作り出していきたい
  2. 『テープノフセン』と『えびせん屋台村』の事例
  3. 商品の可能性を感じてもらいたい
クリエーティブディレクター 生亀 寿昭

まだ世の中にないものを一緒に作り出していきたい

―mikke design lab.とは。

mikke design lab.とは、企業が抱えている課題を、アイデアとデザインで乗り越えて「いいもの、みっけ!」を作る電通テックの商品開発ユニットです。 
まだ世の中にない新しい価値をもった商品を一緒に作り出す、最初の一歩からお手伝いさせていただきます。
今までもブランディング、ネーミングやパッケージなど商品に直接関係のある案件に関わらせていただきましたが、様々な課題を解決するためには、より根本的な商品企画から検討するべきなのではと思ってきました。すばらしい技術やサービスを持った企業の商品をもっと多くの生活者の手にとってもらえるようにすることがこのユニットのミッションです。


価値報酬型の新しいクリエーティブビジネス

そして、このプロジェクトは、成果報酬型であり、完成した商品の売り上げから一定のパーセンテージをロイヤリティとして還元していただきます。ロイヤリティが発生するのは提案内容によっても違いますが、基本的には商品の発売後なので、相談していただきやすいと思います。
クリエーティブも成果を求められる時代、ロイヤリティモデルは、成果に対する価値報酬であり、新しいクリエーティブビジネスともいえると考えます。

―プロジェクトが立ち上がったきっかけ

2013年に「世の中をちょっとよくする」ことをテーマに、クリエーティブ部門の若手社員を中心に、ケーパビリティを目的とした作品展示を開催しました。動物保護や防災、片づけ、花粉症といった、世の中の問題解決につながる課題を自ら設定して、解決案を様々な表現に落とし込んで展示。とても大きな反響がありました。しかも「どこで買えるのか」「商品化して欲しい」などのコメントをいただき、これはイケるんじゃないかと新しいビジネスの可能性を感じました。規模にかかわらず、新しいチャレンジや面白い取り組みをされている企業の方々と協業するきっかけを作りたいと考え、大阪産業創造館という中小企業を支援する機関にこの展示をご案内したところ関心を持っていただき、ビジネスとして進められないかという話になりました。
 

―これまでのプロモーションの経験と知見が強み

私たちはこれまでプロモーション領域の専門家集団として、色々な商品を世の中に提案、生活者に関心をもってもらい、そして購入してもらうという過程に関わってきました。その経験から、商品に対し生活者が興味を持つポイントはどこにあるのかを考える力と、それらを伝えるスキルが身につきました。このことを活かして、様々な企業様と協業し、これまでにない新しい価値を生み出していくことをビジネスにしたいと考えました。

mikke design lab.」がたずさわった商品がヒット
『テープノフセン』と『えびせん屋台村』の事例

<事例1> 『テープノフセン』ヤマト(株)  担当クリエーター:岡田 啓佑

テープノフセン|商品紹介|ヤマト株式会社
課題:販路拡大

「テープノフセン」はヤマトさんの既存商品「メモックロールテープ」というテープ型付箋のリニューアル商品です。文房具としての機能はとても優秀な商品なのですが、プロダクトが少し大きくて野暮ったい印象になっており、パッケージは情報整理の問題で商品の良さが伝わりにくく、店頭で競合商品の中で埋もれてしまっていました。
その主販路は文房具店やスーパー、ホームセンターなどで、購入層も限られており、ヤマトさんからは既存商品は引き続き販売しつつも、リニューアル商品で購入層を広げたいとリクエストがありました。
そこで、新たな購入層を設定し、プロダクト、パッケージ、ネーミングの提案を行いました。プロダクトはコンパクトで使いやすいものに。また、テープ色とプロダクト色を合わせてシンプルにしました。パッケージは雑多な店頭でちゃんと目立つことを意識し、あえてグラフィックのみの強いものにしました。パッケージで商品写真が出ていない分、テープノフセンという機能が分かるようなネーミングにすることで理解の補完をしました。


 

―その結果は。

オシャレな雑貨店など今までになかったところへ販路を広げることができ、普通の文房具からデザイン文具というカテゴリーとして認識されるようになりました。メモックロールテープとは買う人の層や用途が異なり、ヤマトの文具の客層に広がりができたと喜んでいただいています。
2017年グッドデザイン賞も受賞しました。ヤマトさんと電通テックの信頼関係も深まったと実感しています。
 
提案時には、「中の物が見えないパッケージデザインで大丈夫なのか」という疑念が社内で上がったと聞いています。でもそこは私たちを信頼しておさえていただき、提案を一度で通してもらえました。成果報酬型のロイヤリティビジネスということもあり、クライアントも新しいチャレンジがしやすかったようです。
今後もヤマトさんと電通テックの両社で新たなチャレンジをしたいと思っています。
 

<事例2> 『えびせん屋台村』三河屋製菓(株) 担当クリエーター:石原絵梨

えびせん屋台村 | 三河屋製菓

課題:購入層の拡大

大阪ではえびせんべいを使ったおやつが街角の屋台で売られていていて、それが子供時代を大阪で過ごした私のおやつの定番でした。私にとってえびせんべいは馴染みのある存在でしたが、東京に出てくると実はそうではなく……おじいちゃんの家にあるお菓子、という認識があるようでした。実際、三河屋製菓さんも定番商品の「えび満月」や「えびみりん焼」の中心顧客層は中高年からシニアで、若い人にも、知って食べてもらいたいという課題を持っておられました。

そこで私が子どもの頃に感じていた「えびせんべい」のイメージを残しつつ、若い私たちもワクワクできる商品をつくりたいという思いで提案したのが「屋台村シリーズ」です。世界各国の料理とえびせんべいがコラボし、屋台が立ち並んでいるかのように「屋台村シリーズ」のパッケージが店頭を席巻する。そんなイメージを持ちながら企画しました。
今回は味の開発から携わっています。味を開発する過程では、ターゲットに近い女性社員を集めた試食会も行い、私自身も愛知県の工場に足を運びました。パッケージにはフレーバーとなっている料理の豆知識を入れ、読んで楽しんでもらう工夫も凝らしています。
今はフレーバーなどの関係でパエリアせんとたこせん(たこ焼き)の2商品展開ですが、徐々に育てていきたい商品と考えていただいています。

―その結果は。

「えび満月」や「えびみりん焼」などのえびせんべいは、55年余のロングセラー商品ゆえ販路も固定していました。新しいターゲット層を見据えた新たな発想の商品を出したことで、新規販路の開拓のきっかけになったようです。小さめのサイズで食べきれる量をパッケージしたこともあり、大阪の駅近で展開するコンビニで取り扱いを始めてもらっていることも今後の展開のプラス材料。今はデビューから間もなく、徐々に販路を広げている段階です。

他にはヘアアクセサリー(写真左上)やハンガー(写真右上)の新商品開発にも

<事例3>
(株)イエルバのヘアアクセサリーは「髪に留めた跡が残らない」という特徴を持っていました。そこで従来のデコラティブなデザインから変更、女性の忙しい朝を助ける「neco no te」(猫の手)というアイデアを考えました。(写真左上)
 
<事例4>
シンコハンガー(株)は今までとはちがうハンガーを求めていました。そこでハンガーの「収納」に着目。マグネットを仕込むことで、ピタッとまとまり散らばらないハンガーというアイデアを考えました。(写真右上)
 

商品のもともと持っている可能性を感じてもらいたい

私たちにできるのは、出来上がった商品やサービスをプロモーションすることだけではありません。企業の抱える課題は、提供する商品やサービスを見つめ直すことで解決できると思います。そんな商品の可能性をもっと多くの人に感じてもらいたいと思います。
このプロジェクトは、成果報酬型のロイヤリティビジネスということもあり、今までとは違ったことに対して取り組みやすいのではと思います。その結果、幅広いアイデアを出すことができ、新しい発見や結果につがっているのではと感じています。

商品開発のテーマや課題をいただいたときには、コアメンバーを中心に社内公募で参加者を募ります。様々なバックグラウンドを持つクリエーターといろいろな課題を抱えた企業の方々とが出会うことで、今までになかった商品、生活者の視点で「こういうのが欲しかったんだ」と思ってもらえる商品を生み出していきたい。
mikke design lab.というプロジェクトを通して、今までなかなか見つけられな
かった「いいもの、みっけ!」を探しませんか。


mikke design lab.

企業が抱えている課題を、アイデアとデザインで乗り越えて「いいもの、みっけ!」をつくる電通テックの商品開発ユニットです。