2021.11.19

ニューノーマルの生活を支え、その先の体験をもたらすテクノロジー

電通テック新入社員が取材!CEATEC 2021レポート

電通テック新入社員の太田晴香です!
BAE発信を通して知った最新のテクノロジーやソリューションに触れ、世の中の動きを最前線で見つめながら、未来の社会を思い浮かべる毎日を送っています。

今回は、10月19日(火)から10月22日(金)にかけて開催されたCEATEC 2021のレポートをお届けします。今年の開催テーマは「つながる社会、共創する未来」。推進スローガンは「ニューノーマル社会と共に歩む CEATEC」が掲げられ、Society 5.0時代の新たな社会インフラとなる技術やサービス、企業の取り組みが紹介されました。2度目の全面オンラインでの開催となった今回のCEATEC。担当者に質問ができるビデオチャット機能やVRブースの展示など、昨年からさらに進んだオンラインツールの活用が見られました。

昨年のCEATECレポートでは「ニューノーマル時代の最新テクノロジー」をお届けしました。今回は、コロナ禍で変化した私たちの「生活」を支え、「体験」をアップデートするテクノロジーをご紹介します。

目次

CX向上のポイントは、リアルタイムな「つながり」の可視化

ニューノーマル社会における最も大きな課題の一つは、ユーザーとのコミュニケーション。中でもリテールやエンタメの領域は、オフラインとオンラインを繋ぎ、いかに体験価値を高めるかが重要となりました。BAEでもオンライン接客やVRイベントなど、リモート下でのCX向上に着目してきました。そこで今回は、コロナ禍で見えてきたCXの課題を、テクノロジーによって解決する事例をご紹介します。

音声をリアルタイムで認識する「わかりやすい字幕表示システム」(京セラ株式会社)

まずご紹介するのは、音声認識と透明スクリーンの技術をかけあわせた「字幕表示システム」。音声をリアルタイムに認識し、アクリル板などに透明スクリーンを貼付、プロジェクタで投影することで字幕を表示させ、会話の聞き取りづらさを解消してくれます。透明スクリーンを用いたパーティションは他にもありますが、この「字幕表示システム」の新しさは「音声認識」をかけあわせ、会話をリアルタイムに反映できる点です。事前に登録したキーワードに反応して説明を強調して表示したり、図解で表示したりすることもできます。

 

相手の表情を見ながら、話した内容を文字でも確認できるため、高齢者や聴覚障害の方も安心して会話ができるでしょう。AI翻訳の技術をかけあわせれば、インバウンドにも活かせそうです。
また店舗での接客においては、あらかじめ「新商品」などのキーワードを登録し、自然な会話の流れでパーティションに商品を表示する、といった活用もできそうです。コミュニケーションの障害になっていたパーティションが、より円滑な会話のツールに様変わりしたこの事例は、ニューノーマル社会が後押ししたテクノロジーの賜物だといえるでしょう。

「振動」を用いた双方向のエンタメ体験「ヒトコネクションテクノロジー」(一般財団法人電力中央研究所、アルプスアルパイン株式会社、東京理科大学)

イベント会場や参加者とのつながりを「振動」と「光」で可視化させる「ヒトコネクションテクノロジー」。ハプティクス(触覚)技術を施した「スティック型デバイス」をライブ演出に活用しています。スティックを持った観客の、動作・盛り上がりをリアルタイムに演者に送信し、また演者は観客の反応を見て、スティックにハイタッチや握手などの振動を送ることで、双方向で“繋がっていること”を体感することができます。

 

オンラインイベントでは、演者と観客の「一体感」や「没入感」をいかに演出するかが課題でした。しかしこの技術を用いれば、会場からの一方的な発信ではなく、観客自らが起こしたアクションが演者に伝わります。こうした相互のコミュニケーションが可能になれば、まるで会場にいるかのような「一体感」や「没入感」を感じられそうです。

 

今回紹介したソリューションのように、ハプティクスを活用したCXは注目を集めています。映像や音楽などのエンタメ領域だけでなく、サイネージなど店頭での体験にも用いられています。ECで購入した服の手触りをハプティクスによって感じられる、ということも将来的には可能になるかもしれません。離れた人どうしやその場にはないモノの存在を感じられるコミュニケーションツールとして、今後も活用が広がりそうです。

デジタルで変わる、これからのインナーコミュニケーション

今回のCEATECでは、生活者やビジネス向けのサービスだけでなく、コロナ禍で変化した「働き方」や企業の「インナーコミュニケーション」を支えるサービスが多く見られました。昨今では当たり前になったリモートワークですが、「社員の行動と成果が可視化されない」「チャットやビデオだけでは意図が伝わらない」などの課題は今でも続いています。そこで今回はオンラインの社内コミュニケーションをより円滑にするDX事例を紹介します。

3D/VRで体験を共有する「F8VPSバーチャルオフィス」(株式会社フォーラムエイト)

3D/VR空間でアバターを介したコミュニケーションが可能な「バーチャルオフィス」。展示会や大学のキャンパスなど、あらゆる空間のバーチャルシステムを構築できるソフトウェアを、リモートワーク推進目的で活用したものです。チャットやビデオ通話を用いたコミュニケーションはもちろん、行動履歴の取得や出欠、入室管理の自動チェックも可能です。

中でも注目したいのは「マップ機能」。階を移動することにより、部署を行き来できます。例えば、会議室へ行くと入った人同士で自動的にビデオ会議が始まったり、離席をカメラが判別し、自動的にアバターが休憩室に入ったりします。リモートワークでありがちな「誰がどこで何の作業をしているのか分からない」という課題を、アバターによる可視化で解決しています。

リモートワークでは突発的な会話が生まれにくく、気軽な質問や雑談をするのも難しいものです。アバターによって社員の状況がビジュアライズされることで、よりコミュニケーションをとりやすい環境になるでしょう。Meta(旧Facebook)が「バーチャル会議室」ツールを提供するなど、仮想空間が労働環境に入り込む未来もそう遠くはないかもしれません。
また他のブースでは、ARを用いた作業の遠隔指示や、オフィス内の位置情報を管理し密を避けるテクノロジーなども展示されていました。社会環境の変化に対応し、リモートワークを支えるDXの取り組みが多く見られました。

私たちの「食」を支え、アップデートするDX

コロナ禍でライフスタイルが変わる中、特に「食」のあり方は大きく変化しました。外出の自粛に伴い、フードデリバリーや無人店舗などのDXも広がりました。欲しい食材を得られる便利な手段が増えるとともに、人々のニーズに合わせた食の「供給」を支えるテクノロジーも一層重要になってきています。

IoTで豚舎をあらゆる視点からモニタリング「みえる豚」(株式会社システムフォレスト)

養豚場の運営にテクノロジーを応用した「みえる豚」というIoTサービス。豚舎に設置されたセンサーとスマホが連動しており、給水や集糞装置のアクシデントがあった際はアラート通知が届く仕組みです。IoTで作業員の負担を軽減することができ、本来の養豚業の仕事である豚の成育に注意を払い、しっかりと豚と向き合い、大切に育てることに時間をかけられるようになりました。

 

こちらの「みえる豚」サービスのように、生き物を飼育している施設の管理を、離れた場所からでも確認できるという点では、ペットテックへの応用も考えられそうです。

温度や土の栄養状態を管理したり、海中のプランクトン量を数値化するなど、農業や漁業でのIoTは既に進んでいます。産業のDX化は、生活者の需要と供給のバランスを保つために必要不可欠になっています。今回紹介した畜産業での活用のように、私たちの食を支えるIoTは、これからも進化していくでしょう。

また外食の機会が減ったコロナ禍の食生活においては、店頭での買い物の仕方がより重要になりました。食べ物の選び方にも、意識の変化があったのではないでしょうか。

曖昧な食感を数値化、「食感試験機 TEXシリーズ」(日本計測システム株式会社)

食品のおいしさを特徴付ける「食感」。子供や高齢者にとっては、安全に飲み込めるかどうかの指標にもなります。この技術によって、これまで感覚的に判断していた、硬さ、付着性、凝集性、脆さ、弾力性、咀嚼性、ガム性、粘着力などが数値化されるとのこと。食品ならではのモチモチ感やシャキシャキ感などの特性を測定することも可能です。ゼリーや豆腐の硬さのほか、ドライフルーツの硬さの試験も行われているようです。

店頭で食品を選ぶとき、その「食感」は見た目ではわかりません。ところが、今回紹介したような技術を用いれば、柔らかさや歯ざわりといったものが数値として可視化されます。より自分好みのパンの硬さを定量的に選ぶことができたり、肉の弾力性の値から新鮮さを判断することもできるかもしれません。「食感」や「香り」の数値化など、店頭での「食」体験を変えるテクノロジーは今後も注目されることでしょう。


コロナ禍といわれて約2年が経ち、テクノロジーによって私たちの生活も大きく変わりました。これまでは当たり前だった暮らしが一変し、人とのコミュニケーションのあり方や、体験価値も見直されてきました。今回紹介したもの以外にも、ドローンを利用した遠隔医療や、スマート無人レジシステムなど、ニューノーマルの暮らしをより良いものにしようとする企業の取り組みが多く見られました。
リアルとオンラインが融合していくこれからの社会では、テクノロジーをどう活用するかが重要です。社会の変化とともに移りゆく課題をとらえ、その解決のヒントをこれからも考えていきたいと思います!

太田晴香

株式会社電通テック 事業企画室 コミュニケーションデザイン部

大学時代所属していたアカペラサークルでは、ボーカルと楽譜アレンジを務める傍ら、ライブプロデューサーとしてイベント演出・制作にも関心を持つ。
現在はVRやメタバースなど、未来のテクノロジーや空間活用に夢中。
山形県出身。趣味はラーメンの名店とお笑い劇場に通うこと。

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太田晴香